安心・安全なものを選ぼうとする心理とは?
4月がスタートし、新しい気持ちで「自分年金」作りを始めようと希望に燃えているあなた。
その手段として元本保証という安心感に惹かれ、低金利の預貯金を選ぼうとしていませんか。もし答えが”Yes”であれば、なぜ安心・安全なものを選ぼうとしたのでしょう。わたしたち人間が持つ興味深い性質を理解すると、もしかしたら全く異なる選択をする可能性が出てくるかもしれません。
今ここに2つの選択肢があります。ドアAは、80%の確率で40万円の利益を得ることができます。一方でドアBは、100%の確率で30万円の利益を得ることができます。あなたならどちらのドアを選びますか?
2002年にノーベル経済学賞を受賞した米国プリンストン大学のカーネマン教授ら研究者がアメリカで実験を行った際に、ドアBを選ぶ人が8割を占めました。でも実際はドアAを選んだほうが、次の計算結果のように期待値としての利益が多いことになります。
人は損失を避けるために、より確実なものを選んでしまう性質を持っています。この実験の場合には、期待値での利益が多いドアAよりも、確実に利益を得られるドアBを選んでしまったわけです。その理由を下の図が説明してくれています。
上記はあくまでイメージ図です。
出所:「ダニエル・カーネマン/エイモス・トベルスキー共著 ”Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk”(1979)をもとにアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成
損失のときの感情は、利益のときの2倍以上!?
損失と利益が同じ金額(横軸)であっても、損失のときの感情(=「苦しみ」)は、利益のときの感情(=「喜び」)の約2倍以上も大きく感じてしまいます(縦軸)。このため、損失を避けようと、利益が確実なドアBを選ぶ人が大多数を占めたのです。
長い時間をかけて育てる「自分年金」作りでも、本来、あなた自身が取れるはずの適切なリスク(=価格変動幅)を取らずに、損をしない元本保証の預貯金を選んでしまいがちです。この選択がはたして合理的なのかは、あなたの感情に焦点を当てることで見えてくるかもしれません。
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