コツコツと積立投資派 v.s. 一括投資派
投資信託を利用する「自分年金」作りでは、投信積立を活用して毎月コツコツと継続することが大切。今回は、コツコツと投信積立を行った場合と一括投資した場合の結果を実際のマーケットの動きを使い、2つの事例で比較してみましょう。
投信積立派のAさんと一括投資派のBさんの投資対象は、世界株式に投資する架空の投資信託*としました。
リーマンショック直前の2008年2月~2014年5月まで(76か月間)
世界の金融市場に大混乱をもたらし、世界的な不況の原因ともなった2008年秋のリーマンショック。この直前に、Aさんは毎月1万円ずつ合計76万円、つまり76回に分けて投信積立を行い、一方でBさんは一括で76万円を投資しました。
図①で、保有する投資信託の評価額をAさんはグリーンの積み上げグラフ、Bさんはピンク線グラフとして、どのように変化したかを比較してみました。
投資を始めて1年後の2009年2月には、Bさんが保有する76万円分の資産は半分の約38万円に。またAさんの合計積立額である12万円は約8万円となりました。リーマンショックの影響を大きく受け、2人とも元手を下回ってしまいました。その後、徐々に株式市場が回復し76か月後の2014年5月になると、Aさんの保有する投資信託の評価額は積立合計額の76万円を上回り、約132万円になりました。Bさんの場合も、同様に元本76万円を上回る約104万円となりました。
図①
過去の一定期間の実績に基づくシミュレーションは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
2008年2月から2014年5月まで。
Aさんの結果が良かったのは、価格が低いときに口数を多く購入できたから
一括投資は購入する価格と口数がスタート地点で決まります。Bさんの場合は、投資を始めた2008年2月時点の“入口”がすべてです。
一方で、毎月一定金額分の投資信託を購入していくAさんの投信積立では、スタート後の価格の動き次第で購入する口数が異なり、平均購入価格も変動。これによって保有する投資信託の評価額も変わっていきます。つまり“入口の分散”ができたわけです。Aさんは価格が低い前半の期間に多くの口数を購入でき、76か月後の投資信託の口数は約96口。一方でBさんは一括で購入した時点の口数である76口でした。2人の口数の差が、それぞれの投資信託の評価額に影響を与えました。
価格が最も低かった2009年2月~2014年5月まで(64か月間)
図②は最も価格が低かった2009年2月に投資をスタートし、2014年5月まで64か月間継続して投資した場合の2人の投資信託の評価額のグラフです。Aさんは毎月1万円ずつ合計64万円、つまり64回に分けて投信積立を行い、一方でBさんは2009年2月に一括して64万円を投資しました。
価格が最も低い時期に誰でもスタートできる?
64か月後、Aさんが保有する投資信託の評価額は約109万円、Bさんは約162万円と2人とも大きく上昇しました。Bさんの結果が良かったのは、価格が最も低いときに一括で多くの口数を購入することができたから。Bさんが保有する口数は64口の一方で、Aさんは約43口でした。期間中は全般に価格が上昇していたことから、Aさんが1回に購入できる口数が徐々に少なくなってしまったわけです。このように、価格が上昇を続ける場合は、積立投資よりも一括投資のほうが良い結果となります。
図②
過去の一定期間の実績に基づくシミュレーションは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
2009年2月から2014年5月まで。
Bさんの幸運をとても羨ましく感じますが、結果的に後になって、最も低い価格が分かるわけですから、誰にでも手に入れられるものではなさそうです。
私たちの「自分年金」作りでは、やはりコツコツと継続していくことが現実的な方法なのかもしれません。
*世界株式を示す指数(MSCI ワールド・インデックス(円ベース、トータル・リターン))を使用しています。投資家は直接インデックスに投資することはできません。インデックスには、有価証券や投資信託への投資に伴うトータル・リターンの低下要因となる売買手数料や運営にかかる費用は含まれていません。
出所:MSCI
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