国民年金・・・問題ばかりが注目されているけど
国民年金の保険料、毎月いくら納付しているか把握していますか?
国民年金保険料は、毎年度決められ、たとえば平成29年4月からの1年間は、月額16,490円です。サラリーマンや公務員は給与から天引きされますが、決して少ない額ではありませんので、保険料の納付が各自に委ねられている学生や主婦など無職の方、また自営業の方のなかには、「将来のことまで考える余裕はないし、年金制度自体もどうなるかわからないから、国民年金の保険料は後回しにしよう」と思う人もいるかもしれません。
しかし、声を大にしてお伝えしたい!「国民年金の保険料は無理してでも納付したほうが、お得です!」
国民年金保険料の納付は義務なので、損得を言うこと自体がおかしいかもしれませんが・・・、保険料を納付しないと、当然その恩恵に預かることはできません。今回のコラムでは、一般ではあまり知られていない国民年金の三つのメリットをお伝えします!
メリット1. 国民年金は生涯もらえる
まず、国民年金の老齢基礎年金(いわゆる想像どおりの「年金」です。)は、生涯受給できる終身年金です。この点は大変重要ですよね。終身年金としては、民間の保険会社が提供する商品もありますが、経済的なメリットは国民年金のほうが圧倒的に大きいと言えます。国民年金の保険料を40年間納付し、65歳で退職して平均余命の84歳まで19年間生きる場合、保険料総額と年金受給総額を比較すると、納付する保険料が合計約791万円(=月16,490円×12ヶ月×40年)に対して、受給する年金は合計約1480万円(月64,941円×12ヶ月×19年)と約1.8倍にもなります。
この保険料と受給額はともに平成29年度の数字で試算したもので、この比率は次第に下がる見込みですが、それでも国民年金が断然有利であることは変わりません。なぜ、こうしたことが可能なのかと言えば、それは国民年金の半分が税金で賄われているからです。そのため、国民年金保険料を納付しないということは、この税金分を放棄することになるのです。
出所:日本年金機構、AB
メリット2.インフレにも強い
また、国民年金には、民間の終身年金にはないインフレ抵抗力があります。
現在の日本経済はデフレにありますが、少なくとも日銀が目標としている2%のインフレが達成されることを想定する必要があるでしょう。国民年金の場合、物価や賃金の変動に合わせて年金額を変動させるため、インフレ時でも受給額が実質的に維持されます。これに対し、民間の終身年金は物価が上がっても受給額は変わらず、年金の実質的な価値が下がってしまうものが大半です。
メリット3.万一のときにも安心
そして、実はあまり知られていないことですが、国民年金には老後の年金以外にも、現在の生活を保障してくれる保険的な機能があります。
例えば、事故や病気によって身体が不自由になった場合、障害基礎年金が給付されます。民間の保険でも、対応できる商品はありますが、国民年金の障害年金ほど広範囲な障害に対応しているものはありません。給付額も、場合によっては、老齢年金の1.25倍になることに加え、子供の数によっても加算されます。また、不幸が起き家族を残して亡くなられてしまった場合、残された家族(子供のいる妻か夫、および子供)に子供が18歳になるまで遺族基礎年金が支給される点も大きなメリットです。いずれも支給の条件は、納付期間の2/3以上納付していることです。
有利な「権利」を捨てては損!?
公的年金は現役世代から高齢者層への「社会的仕送り」と捉えられ、税金と同様、「義務」としての側面や世代間の不公平などに焦点が当てられがちですが、民間の終身年金や保険まで視野を広げて比較したメリットは圧倒的に大きいです。また、保険料を納付しないと、国民年金に補填されている税金分を自ら放棄することにもなります。あえて損得でいえば、国民年金はそうした有利な年金や各種の保障をもらえる「権利」と考えたほうがいいかもしれません。
このように、国民年金を「優れた特性を持つ商品」というようなポジティブな視点で捉えると、保険料を納付することに前向きになってもいいのかもしれませんね。
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