前回述べたように、投資信託を使って「自分年金」を作る場合、①長期的な視点から適切なリスクを取った分散投資を行う、②当初計画した資産配分を維持する、③年齢に応じて保守的な資産配分に変更する—三点が大切と言われますが、通常の「バランス型ファンド*」では①と②しか対応できません。そこで、今回は①②③を全て任せられる「ターゲット・イヤー型ファンド」をご紹介します。
資産運用において年齢は資産構成を考える上で重要な要素です。若者は将来の時間がたっぷりあるので株式などで「攻め」の運用ができますが、退職が視野に入ってくる中高年はそろそろ「守り」を意識した運用が望ましい時期に差し掛かります。「ターゲット・イヤー型ファンド」の「ターゲット・イヤー」とは想定される退職年のことで、このタイプの投資信託はターゲット・イヤーが近づくにつれ債券など安全性の高い資産にシフトし、次第に守りを固める保守的な資産配分になります。
ただ、ターゲット・イヤー型ファンドのデメリットとしては、ターゲット・イヤー到達時に株式などのリスク性資産の比率が極端な場合はゼロまで下がり資産配分が保守的になりすぎる点が指摘されます。確かに、65歳の4人に1人が90歳以上まで長生きすると言われる現代日本においては、退職後もある程度のリスクを取って株式などを適切に組み入れる必要があるようです。ターゲット・イヤー型ファンドの中には、退職年を過ぎても積極的に運用するタイプもありますので、「インフレ・リスク」や「長生きリスク」に対処したい方には適しているかもしれません。
例えば、現在38歳の人なら想定される退職年は65歳になる2040年ですので、ターゲット・イヤーが2040年のファンドを選ぶだけで、後は全てプロに任せることができます。こうした投資信託は幅広い年齢層において投資経験や知識が乏しい人でも、忙しくて時間がない人でも利用しやすいため、投信積立による「自分年金」作りに適していると思います。
*バランス型ファンドとは、ここでは一つの投資信託で株式や債券など複数の種類の資産に分散投資をするファンドのことをいいます。
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