ある調査では、今年成人式を迎えた若者の8割弱が「日本の未来は暗い」と答えました。実際、就職難だけでなく、将来的にも年金をあまりもらえそうになく、国の膨大な借金のツケを払わされる「若者はかわいそう」と言われることがあります。
2013年5月に発表された内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2012年)では、20代と30代の約7割が現在の生活に「満足」と答えています。一方、同じ調査で「日常生活での悩みや不安」に関しては、20代と30代の約6割が「感じる」と答えており、若者は「今は幸せ」と感じながらも、「将来は不安」と思っているようです。
自分自身も若者である新進気鋭の社会学者である古市憲寿氏(28歳)はその著書「絶望の国の幸福な若者たち」で、人は将来に希望を描けない時に「今は幸せ」と回答すると述べており、この見解によれば、若者の幸せは「あきらめ」の上に成り立つ「かりそめの幸せ」と言えるかもしれません。
しかし、「自分年金」作りにおいては若者であることが有利な点もあります。それは「人的資本」が大きいことです。人的資本とは、将来受け取ると期待される収入の合計のことで、預貯金、株式、債券、投資信託などの金融資本の対極にある概念です。
中高年は一般的に金融資本をある程度蓄えている半面、退職までの期間が短いため、人的資本は限られています。一方、若者は金融資本が少ない半面、働ける時間がたっぷりあるので、人的資本は豊富です。ただ、せっかくの人的資本も活用しなければ宝の持ち腐れなので、将来の収入増加につながる自分磨きに励んだり、若いうちに「時間を味方につける」長期投資のスタートを切り、数十年先のゴールを目指してひたすら続けることが大切ではないでしょうか。
【当コラム筆者:カフェバーのマスターとは?】
もともとは金融機関勤務、今はカフェバーのマスターをしています。
私のお店にはお金の悩みを持つ、いろいろなお客様がいらっしゃいます。
いつもお店でお客様にアドバイスしていることを皆さんにも直接、お伝えしたくて、このコラムを始めました。
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