「健康」「家族」「お金」という幸せの三要素と、どんな時代でも前向きに生きていくために必要な「祖国への誇り(≒祖国愛)」についてお話してきましたが、これらがすべて満たされたら、私たちは幸せになれるのでしょうか。現代の日本は、物質的な豊かさはさておき、「貧乏ながら平等で幸せで美しい国」と欧米人が賞賛した約150年前の幕末から明治の日本や、映画『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズで描かれた貧しくても夢と希望にあふれて輝いていた約50年前の昭和30年代の日本とは何か決定的に違う気がします。
日本全体がかつてのように幸せになるために欠けている最後のピースは、「美しい日本人の心」ではないかと思います。前回お話ししたように、日本は一つの王朝が2000年以上も続く世界最古の国で、そうした歴史や伝統、文化が今も私たちの心のDNAに脈々と息づいています。例えば、欧米人が自由や個人を重視して自分の権利を主張するのに対し、日本人は秩序や和の心を大切にして「譲り合い助け合う思いやりの精神」を持っています。
昔の日本人には金や地位や名誉より、親族や近所の人とのつながりこそが幸福の源でした。血縁や地縁など社会を形作る結び付きを「紐帯(ちゅうたい)」と言いますが、これは「祖国愛」につながる「家族愛」や「郷土愛」の根底にあるものです。『国家の品格』『日本人の誇り』の著者、藤原正彦氏はこの紐帯こそが、幕末から明治の日本を訪れた欧米人を「貧しいけど幸せそう」と一様に驚かせた稀有の現象の正体であると指摘しています。
東日本大震災をきっかけに「つながり」の大切さが再認識され、地元の伝統や文化を見直して「郷土愛」を育み、地域を活性化する草の根レベルの活動が各地で広がっています。そうした動きが被災地の復興と共鳴すれば、日本再生への大きなうねりとなるでしょう。このため、現代日本人にとっては「誇り」と「つながり」が「幸せな未来」のキーワードであると考えています。
「幸せな未来をプロデュース」することを目指す「ポジティブ自分年金」が個人レベルで果たすべき役割は、老後の不安を解消するための資金的な準備と、将来のなりたい自分をイメージして人生を前向きに楽しく生きていくためのきっかけ作りの二つです。これらは幸せの三要素のうち特に「お金」と「(心の)健康」と関係があります。
【当コラム筆者:カフェバーのマスターとは?】
もともとは金融機関勤務、今はカフェバーのマスターをしています。
私のお店にはお金の悩みを持つ、いろいろなお客様がいらっしゃいます。
いつもお店でお客様にアドバイスしていることを皆さんにも直接、お伝えしたくて、このコラムを始めました。
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