日本を元気に!「自分年金」コラム

2013.11.13

人間は投資に向いていない?

皆さんは「行動ファイナンス」という学問をご存知ですか? 今年10月にノーベル経済学賞を受賞した米エール大学のロバート・シラー教授はこの分野の重鎮で、心理学を応用した「行動ファイナンス理論」を用い、住宅バブルなど合理的には説明できない市場の動きがなぜ起きるかを分析した業績が評価されました。同教授は2000年に出版された「根拠なき熱狂(Irrational Exuberance)」で、株式バブルについて警鐘を鳴らしたことでも知られます。

この行動ファイナンスによると、人間は合理的な選択をできないので、そもそも投資には向いていないとのことです。市場の特性や投資理論を頭では理解できても、それをなかなか行動に移せない人間の悲しい習性(行動バイアス)がその原因と言われます。投資家の判断は直近の市場動向やマスコミの報道に影響されやすく、市場心理は時折一方向に傾きすぎることがあり、1980年代後半の日本の株式・不動産バブルや1990年代後半のITバブルなどはその典型です。

また、人間は利益が出ている局面と損失が生じている局面ではリスクに対する判断基準が異なるそうです。利益についてはより確実な選択肢を選ぶ一方、損失についてはそれを回避するため一か八かの博打的な選択をするとのことです。これは利益から得られる喜びよりも、同額の損失から生じる苦しみの方を大きく感じるためと言われます。ちなみに、2002年にノーベル経済学賞を受賞したこの分野の第一人者、米プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授らの研究では、損失から来る苦しみは利益から来る喜びの約2.25倍も大きく感じられるという結果が出ています。

喜び悲しみ
上記はあくまでイメージ図です。
出所:「ダニエル・カーネマン/エイモス・トベルスキー共著 ”Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk”(1979)をもとにアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成

人間が投資に向かないのなら、投資は無理と思うかもしれませんが、それに対処する方法はあります。合理的な選択を阻む人間の行動バイアスを回避するには、あえて自分の意思決定を排除するやり方が有効と言われ、それは「ルールの活用」と「専門家の活用」の二つに大別できます。ルールの活用に関しては、前回ご紹介したポートフォリオの「リバランス」もその一つで、それ以外にも一定価格以上下がって損失が膨らんだ時に強制的に売却する「ロスカット・ルール」などがあります。次回はもう一つの対応である専門家の活用についてお話しします。

【当コラム筆者:カフェバーのマスターとは?】thumbnail_master
もともとは金融機関勤務、今はカフェバーのマスターをしています。
私のお店にはお金の悩みを持つ、いろいろなお客様がいらっしゃいます。
いつもお店でお客様にアドバイスしていることを皆さんにも直接、お伝えしたくて、このコラムを始めました。

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出所:厚生労働省、日本経済新聞生活経済部編 「30歳から始める!幸せになるためのシングル女性の人生設計」日本経済新聞出版社>閉じる

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